働き方改革やフリーランス志向から、自ら起業する“スタートアップ系女子”が増えている。いわゆる「キラキラ女子」を想像してしまうところだが、日本初の、「夢を追いかける若い女性」と「応援する男性」をマッチングするパパ活アプリ「paters」代表取締役CEO、日高亜由美さんの印象は真逆だ。日高さんは薄いメイクに眼鏡、シンプルなパーカー、柔和な笑顔。一般的な「パパ活」のイメージとは程遠く、いたってナチュラルな女性。そんな彼女がなぜ「パパ活」をビジネスにしようと思ったのか。その理由について聞いた。(ライター 横山 薫)
ローンチからわずか1年半あまりで
登録者数は30万人を超える
──日高さんは、2017年5月に日本初のパパ活アプリ「paters」(ペイターズ)をローンチされたわけですが、現在、登録者が30万人を超える勢いだそうですね。
日高 まさかこんなに大きくなるとは…とびっくりしています。
──日高さんは23歳で起業して、パパ活アプリの「paters」を作られたわけですが、昔から起業に対する意識が強かったんでしょうか。
日高 いえ、全く。少しだけ私自身の経歴をお話すると、私はもともと鹿児島県の田舎出身で。10代の頃から音楽活動に夢中で、地元の高校に入学したはいいものの、「音楽で食べていきたい」と思って、17歳で高校を中退してしまったんですね。今思えば、すごく無謀だったなと思うんですが(笑)。結局、音楽の道はあきらめたものの、「自分の好きなことをしながら、お金を得る生活をしたいな」と思って、中学生の頃からフィルムカメラで写真を撮ったり、高校生の頃はカメラマンのアシスタントをしていたこともあり、18歳でフリーのカメラマンを目指して上京したんです。
──当時、東京に知り合いはいたんですか。
日高 いえ、親戚や友だちなど、頼れる人は誰もいませんでした…。
──そんな状況で、単身で上京するとはすごい覚悟ですね。
“起業家版トキワ荘”で
切磋琢磨
paters代表取締役CEO 日高亜由美さん
日高 今思えば、本当に無謀な考えだったんです(笑)。ただ、ラッキーだったのは、その際に六本木の「リバ邸」というシェアハウスに入居できたことです。ここは「何か新しいことをしたい!」という気持ちを持った起業家が集まる場所だったんです。
私自身は当初はカメラマン志望だったので、起業したいという気持ちは全くなかったんですが、毎日のように彼らが新しいアイデアを生み出したり、起業のために切磋琢磨している姿を見ていると、次第に「起業って面白そうだな」と影響を受けるようになりました。
──シェアハウスで、同じ志を持った仲間たちと切磋琢磨する…。手塚治虫、赤塚不二夫ら著名漫画家が青春時代を過ごした「トキワ荘」がありましたが、「リバ邸」はまさに“起業家版トキワ荘”といったイメージですね。
日高 実際、当時一緒に住んでいた仲間たちのなかで、起業して、有名な社長になった人もたくさんいますし、今もつながっている人も多いんです。また、リバ邸にはプログラマーの人もいて、次第にプログラミングにも興味を持つようになったのも大きなターニングポイントでした。そこで、まったくのプログラミング素人の状態から、独学でプログラミングを勉強するようになりました。
もちろん自分だけで勉強するのには限界があるので、スキルシェアなどのサービスを通じて、プロのプログラマーさんに1時間5000円くらい払って教えてもらったりもしました。当時、リバ邸で出会った友人の会社で仕事をしていたんですが、20万円前後の給料のうちの大半をプログラミングの勉強につぎ込んでいましたね。
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