性的関係はナシ。「父娘」として付き合ってくれる若い女性を求める中高年男性が増殖中だ。経済的事情から「パパ」を求める“パパ活”にいそしむ若い女性もおり、ちょっとした流行語にもなっている。
「パパ」はパトロンではなく父親!
流行の兆しを見せる「パパ活」
「彼女の美しい時期を一緒に過ごせる。それだけで僕は満足なんです。心と心、魂と魂が触れ合う素敵な時間を共にできる。これ以上の贅沢はありませんよ」――。
パトロンではなく、「父」――。昨今の”パパ”は性的関係ナシがブームだというが、一体どんな関係性なのだろうか?(写真は本文とは関係ありません)
今、男性が毎月一定額を女性に支払い、食事やプレゼントはもちろん、日常の些細なことから人生相談まで乗るという約束で交際するカップルがにわかに増えつつあるという。
こうした存在の男性を女性が探すことを「パパ活」というのだそうだ。そしてこの関係で交際する男性は「パパ」、女性は「パパ子」と呼ぶのだとか。
「パパ活交際」の特徴は、なんといっても性的関係を持たないこと。バブル期にも大流行した、中高年男性が若い女性に貢ぐ“パトロン”は、性的関係も込みであることが暗黙の了解だったが、昨今のパパ活交際はそうではない。パパはパトロンではなく、「あくまでもパパ(父親)」(パパ活交際中の23歳・女子大学院生)。だから、体の関係を持つつもりは全くないというわけだ。そんな「パパ活交際中」男女のリアルに迫ってみたい。
JR山手線「五反田」駅から歩いて5分ほどの距離にあるレンタルルーム。ここで現在23歳の女子大学院生との「父娘(おやこ)対面」の時間を終えたばかりだというマサヤさん(44歳)に話を聞いた。
「若い彼女との関係は、決してやましいものではありません。彼女が言うようにあくまでもパパ(父)とパパ子(娘)。自分で選んだ親と子です。だから父娘水入らずでくつろいでいただけですよ。そこに邪な考えを持つのはちょっとどうかと思いますね」
やや怒気を含んだ面持ちで、マサヤさんは記者にこう投げかける。しかし、レンタルルームに同室するほどの関係の男女、しかも疑似「親娘」関係を結んでいるという彼らを「邪な目で見るな」とは、いくらなんでも無理があるではないか。そう言いかけて言葉を飲み込んだ記者を諭すように、マサヤさんはこう続けた。
「体だけが男女を繋ぐものではありません。お互いがお互いを必要とし、心癒せることが大事なのです。彼女は僕の青春時代を思い起こさせてくれる、かけがえのない存在。これからも生涯、“娘”として大事にして僕の人生を賭けたいです」
大学院修士課程まで出たが博士課程への進学は認められず、以来、ずっと塾や家庭教師、運送店の仕分けバイトで生計を立ててきたというマサヤさんがこう語るのを聞き、パパ子である女子大学院生が隣で頷く。たしかにその様子はさながら実の父娘のようだ。
「こんな喫茶店に入ったの初めてです…。私、ファストフードかファミレスしか入ったことないんです。だからキチンとした珈琲ってほとんど飲んだことありません。あの、これって美味しいのですか?」
記者が取材場所に選んだ、本格派の珈琲を出すことで評判の五反田駅近くの喫茶店でこう話す「パパ子」の見た目は、地方から出てきた中学生と見紛うほど質素だ。言葉遣い、立ち居振る舞いも地味。学究一筋の真面目な大学院生なのだろう。
仕送り2万円に交際費2万円
締めて月間4万円で営む「パパ」業
彼女がこう話す様子を目を細めて見ているマサヤさん。その姿から、彼女に若き日の自分を重ねている様子が見て取れた。マサヤさんは言う。
「僕も地方ではね、高校まで結構デキたほうだったんですよ。きちんとした会社勤めをして…という人生を歩むには、あまりにも今の社会は汚なすぎる。だから僕が彼女を守ってあげたくて。それで父娘の関係なんです」
2年前、運送店の仕分けバイトで出会ったというマサヤさんと女子大学院生。「娘の人生を守りたい」と意気込むマサヤさんではあるが、実際には、世間で想像されているような大きなお金が動いている訳ではない。
「毎月2万円の『仕送り』と食事やカラオケ、レンタルルーム代の実費が僕の負担です。最近は週に1度、レンタルルームのサービスタイムの時間に『父娘の時間』を設けています。仕送りの2万円には彼女に作ってもらうお弁当の食費代も含んでいます」
マサヤさんたちが頻繁に利用する五反田のレンタルルームは平日昼3時間利用で3200円だ。1~2週間に1度程度の逢瀬で利用するレンタルルーム代は月に1万円程度。これに「父」として彼女に渡す2万円が加わると約3万円だ。喫茶店代やカラオケ代も含めると月間約4万円程度――これがパパ活交際、いや、疑似“父娘”関係を維持するためにかかるコストといったところか。さらに続けてマサヤさんが語る。
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